シンガポール港のコンテナ取扱量の推移を見る

シンガポール港が世界第1位に返り咲く日は近い!?

近年、世界のコンテナ取扱量の上位10港を見るとほとんどは中国の港であり、中国が最大の貿易大国であると言えます。
そんな中でコンテナ取扱量世界第2位を確保しているのがシンガポール港。コロナ禍であってもその取扱量は拡大を続けています。
またシンガポール港は新埠頭を随時建設中で、2022年9月に開業した「トゥアス新ターミナル」によってさらなるコンテナ取扱量を確保できるようになりました。このターミナル増設は4段階(2040年完成予定)を予定しており、すべてのターミナルが開業した場合は現在の1.7倍のコンテナ取扱が見込まれると言われています。

本記事ではシンガポール海事港湾庁(MPA)が公開しているシンガポール港のコンテナ取扱量の統計からグラフを作成し、上海港のデータと比べてみることにします。

シンガポール港のコンテナ取扱量の年次データ

シンガポール海事港湾庁(MPA)が公開しているコンテナ取扱量は2012年から年次データが公開されており、グラフにすると以下のようになります。
(※2012年以前は日本湾岸協会が公開しているデータを参照しました)

    

上記グラフを見ると以下のことがわかります。

  • リーマンショックの2009年のコンテナ取扱量は減少している。
  • 2010年以降は上海港のコンテナ取扱量が1位となる。
  • 2014年までは堅調だったシンガポール港のコンテナ取扱量は2015年は減少。これは「中国の需要減速」や「原油価格の下落」により輸出産業や石油関連産業が停滞したためだと考えられる。
  • 2021年は「巣篭もり需要」でコンテナ取扱量が増加した上海港に対して、シンガポール港はその恩恵をさほど受けていないことがわかる。


現状は差が開きつつあるシンガポール港と上海港ですが、2022年9月に開業した「トゥアス新ターミナル」によってコンテナ取扱量はどれくらい増加するのか。また上海ロックダウンの影響で2022年の上海港のコンテナ取扱量が下がるようであれば、2港の差は縮まる可能性もありそうです。

2010年に上海港に抜かれるまで世界第1位であったシンガポール港。果たして再び上海港を追い抜き、首位奪還の日は訪れるのでしょうか。今後のシンガポール港に注目したいところです。