北米航路への国別コンテナ取扱量について

米西海岸ロス港のコンテナ取扱量減少の原因を考察する

当サイトで定期的に取り上げていますが、ロス港のコンテナ取扱量が昨年夏以降減少しています。この原因のひとつとして考えられるのは対中関係の悪化です。

今回は日本海自センターのHPで公開している北米コンテナ航路の国別コンテナ取扱量の月別往航データを基に、中国積み及び日本積み貨物の推移を確認してみます。

これまでのロス港の記事も併せてご確認ください。

関連記事)2023年これまでの米西海岸ロス港のコンテナ取扱量をチェック

北米コンテナ航路の月別往航データを可視化

まずは北米コンテナ航路(往航)のうち、主要18ヶ国・地域積合計値の月別外貿コンテナ取扱量をグラフにすると以下のようになります。

    

次に北米コンテナ航路(往航)のうち、中国+香港積みの月別外貿コンテナ取扱量をグラフにすると以下のようになります。

    

最後に、北米コンテナ航路のうち日本積みの月別外貿コンテナ取扱量をグラフにすると以下のようになります。

    

これらの3つのグラフのうちグラフ①とグラフ②を見ると、北米コンテナ航路は中国積みコンテナの占める割合が多いため、全体のコンテナ取扱量と中国積みのグラフに相関関係があることがわかります。
具体的には2022年の9月から2023年の3月までは減少傾向にあった中国積み貨物ですが、2023年4月以降は回復傾向にあることがわかります。
但し、2023年10月を見ると、全体としては2021年度の水準まで戻しているものの、中国積み貨物に関しては2021年度の水準には達していないことがわかります。
つまり、中国以外からの輸入割合が増えているということです。

また、グラフ③ですが北米コンテナ航路における日本積みが全体に占める割合は数パーセント程度ですが、中国積み貨物が低迷していた期間に日本積み貨物も低迷というこはなく独自のチャートを形成しているようです。
つまり月単位でみれば労使交渉の遅れ等で港の混雑云々の影響はあまりなかったのではと考えられます。
そうなると今回の北米航路のコンテナ取扱量の低下は対中関係悪化による買い控え、米国内インフレによる消費減少、2022年の夏に買い過ぎて在庫過多状態になったなどが考えられます。
※なお、日本海自センターの公開データには品目別のコンテナ取扱量のデータもあるようなので、特定の品目が減少しているか等はそのうちレポートしたいと考えております。

いずれにしても、2023年4月以降は中国積み貨物が回復してきていますが、北米航路の2023年10月までの年間コンテナ取扱量は昨年比マイナス(-15.9%)となっています。はたして残り2ヶ月で回復できるのでしょうか?

今後もこちらのデータについてレポートしていきます。