依然低迷する米西海岸ロサンゼルス港のコンテナ取扱量の推移レポート 2023夏

2023年7月は前年同月比27%減と下降状態のロス港

これまでも何度かレポートしましたが、昨年の夏以降ロサンゼルス港のコンテナ取扱量は下降傾向にあります。

ロス港が発表している月別コンテナ取扱量によると、2023年7月は前年同月比で約27%減となりました。翌8月は前年同月比約3%増と10ヶ月ぶりにプラス成長となりましたが、これは昨年8月のコンテナ取扱量が元々減少していたことに起因しているようで、実際にはこの夏も継続的な停滞状態であると判断できます。

この下降傾向はしばらく続くのか、それとも秋以降回復するのか、今回は米西海岸ロス港のコンテナ取扱量についてレポートします。

コンテナ取扱量の下落は物価高による消費低迷が原因?

    

2023年の月別コンテナ取扱量の推移を見ると、2月に著しく下落したものの徐々に回復し、6月には前年同月比でほぼ並びました。しかし、7月に大幅に下落。8月は前年同月比でプラス成長となっています。
ただし、2021年と比較した場合に8月のコンテナ取扱量は15%減少しており、まだ低水準を脱しているとは言い難いようです。

大きく下落した7月のコンテナ取扱量ですが、輸入と輸出の割合はどうだったのでしょうか。2023年7月の詳細データを表にすると以下のようになります。

■ロサンゼルス港コンテナ取扱量 7月(※単位は万TEU、小数点第2位は四捨五入)

輸入(実入)輸入(空)輸入合計輸出(実入)輸出(空)輸出合計総計対前年同月比
2019年7月47.61.148.816.126.342.591.2-
2020年7月45.60.145.712.627.339.985.6-6.11%
2021年7月46.90.0146.99.133.042.189.14.02%
2022年7月44.40.549.110.434.144.593.55.01%
2023年7月36.40.0636.511.020.931.968.4-26.85%

過去の7月と比較すると、輸入(実入)が大きく下落していることがわかります。コンテナ数の輸入が減っている分、輸出(空)も下落し、コンテナ取扱量の総数も下落しているようです。
輸出(実入)の方は昨年比で大きな変動は見られません。ただしコロナ渦前の2019年比では大きく下落していることから、まだ「コロナ前の水準に戻った」とは言えない状況だと言えます。

この輸入が大きく減っているのは近年の対中政策により中国からの輸入が減っていることが主な原因であると考えられます。
サプライチェーンを中国から東南アジア、インドに移行し、それが落ち着けば輸入量は回復するのではと予想できます。

懸念としては、ロシア中国等が新たに作る経済圏のBRICSの広がりです。中東、アフリカ諸国がBRICSに加盟していくと、アメリカはじめG7側の物流に悪影響を与える可能性があります。

今後もロス港のコンテナ取扱量に注視し、物流の今をレポートします。