アメリカの物流は西海岸から東海岸にシフトか!? 2022年のコンテナ取扱量比較

西海岸と東海岸の2022年コンテナ取扱量を比較する

アメリカの主要なコンテナ港と言えば西海岸のロサンゼルス港が有名ですが、昨年秋よりロサンゼルス港のコンテナ取扱量は著しく下落しています。
これは巣ごもり需要の終了や西海岸の労使交渉の長期化懸念、コロナ混乱による中国からの貨物の減少などさまざまな要因が考えられますが、東海岸側のコンテナ取扱量を見れば主な要因が見えてきます。
今回は東海岸ニューヨーク港&ニュージャージー港のコンテナ取扱量を提示し西海岸からの貨物の迂回があったのか等を検討してみます。

ニューヨーク港&ニュージャージ港のコンテナ取扱量2022

ニューヨーク港&ニュージャージ港(NY&NJ港)のHPで公開している月別コンテナ取扱量をグラフにすると以下のようになります。

    

次に西海岸と比較するために以下にロサンゼルス港の月別コンテナ取扱量のグラフを提示します。

    

そして、今回は2022年夏以降の西海岸と東海岸のコンテナ取扱量を比較したいので以下にロサンゼルス港とNY&NJ港の2022年のグラフを提示します。

    

上記3つのグラフを見ると、2017年以降は基本的にNY&NJ港よりもロサンゼルス港の月別コンテナ取扱量の方が多かったのですが、2022年の8月以降、11月までは逆転しております。

仮にアメリカの「巣ごもり需要」が終了したのであれば、NY&NJ港もロサンゼルス港と同様に大きく下落するはずですが、2022年夏以降のNY&NJ港は下落は見られても、2019年以前と比べると依然として高水準であると言えます。

また西海岸の労使交渉の長期化が懸念されロサンゼルス港を回避し代替として東海岸の利用が増えていると言われると、さほど増えているようにも感じられません。

ロサンゼルス港の昨年夏からの荷動きを見ていると、上海港のロックダウンが6月に解除されて、7月は貨物の流入が著しく増加し、いわゆる「需要過多」状態となり湾岸倉庫に貨物が滞留、8月以降は湾岸倉庫の滞留貨物が多いので新たな貨物の流入量が減少、またコロナ混乱による中国からの貨物も減少した結果、秋から年末にかけてのコンテナ取扱量は大幅に下落したと考えられます。

なお、2022年の12月は再びロサンゼルス港のコンテナ取扱量の方がNY&NJ港よりも多くなっております。こちらは西海岸港に大量に溜まっていた貨物が一部流通し、倉庫のスペースに余裕ができたという見方が妥当です。

いずれにしても、2023年4月以降は湾岸倉庫に滞留している貨物は大幅に吐き出されると予想されており、そうなるとロサンゼルス港のコンテナ取扱量も回復するのではと言われています。

近年では見られなかったロサンゼルス港とNY&NJ港のコンテナ取扱量の逆転現象は2023年以降はどうなるのでしょうか?
アメリカの物流が西海岸から東海岸へシフトする、、つまり対アジアから対欧州へシフトするということになるのでしょうか。
今後もアメリカのコンテナ取扱量に注目されるところです。