相互関税の影響は?ロス港のコンテナ取扱量と運賃動向を確認
2025年夏以降のロス港のコンテナ取扱量について
米西海岸のロサンゼルス港のコンテナ取扱量は定期的に追っているテーマですが、今年話題になっていた相互関税の影響はコンテナ取扱量にどのような影響を与えているのでしょうか。
今回はロス港の公式HPで2025年10月までのデータが公開されているのでそのデータと、日本海事センターのウェブサイトで公開されている上海〜ロサンゼルス間の運賃指数データをもとに、その推移をグラフで整理します。
ロス港の取扱量は高水準、しかし上海→ロス港の運賃は低水準、、その理由は?
以下、ロサンゼルス港の月別外貿コンテナ取扱個数のグラフです。
同時期の上海→ロサンゼルス港の運賃指数も合わせて提示します。
グラフを見ると、2025年の5月までは昨年とほぼ変わらないコンテナ取扱量でしたが、6月・7月は高水準となっており、特に7月は巣ごもり需要と言われた2020年・2021年を上回る値となっています。
相互関税が8月から実施されることによる駆け込み需要に加え、同時期のアジア→ロサンゼルス向けの運賃指数が下落していたことも、取扱量増加の背景にあると考えられます。
一方で、ロサンゼルス港全体の取扱量が増えているにもかかわらず、上海→ロサンゼルスの運賃が下がり続けている点はやや不自然に見えます。
ただ、今回のデータには仕向地別・仕出地別の内訳が含まれていないため詳細は不明ですが、状況から考えると「中国発の直行貨物が思ったほど増えていない」可能性が考えられます。
その背景としては、関税回避のための 中国→メキシコ→米国 の迂回ルートが定着しており、この影響で基幹航路である中国発ロサンゼルス向けのスペースに余裕が生じていると推測できます。
さらに、相互関税をめぐる懸念から早い段階で在庫が積み上がっていたこともあり、米国側の需要も強くない可能性が高いです。こうした「基幹航路の需要の弱さ」と「スペースの過剰感」が重なり、運賃指数は下落傾向が続いているとみられます。
今後については、相互関税をめぐる状況に大きな変化がなければ、これまで通り迂回ルートを利用する業者も多いとみられ、ロサンゼルス港への需要が急増する展開は考えにくいでしょう。こうした状況から、当面の運賃は低水準で推移する可能性がありそうです。
ロサンゼルス港については今後とも定期的にレポートしていきます。
※大谷シッピングでは、アメリカ、中国、インド、中東、アフリカ、欧州への海上輸送も積極的に取り扱っています。多数の実績がありますので、ご入用の際はぜひお問い合わせください。
