相互関税の影響は横浜→ロス港の運賃の推移を確認

アジア発北米向け運賃指数が下落、8月には今年の最安値を記録

昨年末から問題となっていた日本と米国の相互関税については、7月末に一旦妥結し、多くの国で新たな相互関税のもと貿易が行われています。こうした影響もあり、上海発コンテナ運賃指数(SCFI)の中国発・北米向け運賃は下落が続き、8月22日時点で今年の最安値を更新したと報じられています。

では、実際のアジア発・北米向け運賃指数の推移はどうなっているのでしょうか。今回は、日本海事センターのウェブサイトで公開されている主要航路のコンテナ運賃動向データから「横浜→ロサンゼルス港」「上海→ロサンゼルス港」の運賃指数を抽出し、過去5年間の推移をグラフで確認してみます。

上海→ロス港、横浜→ロス港の運賃指数推移

以下、上海港→ロサンゼルス港、および上海港→ニューヨーク港、上海港→ジェノバ港の運賃指数(※単位:US$/40ft)の推移をグラフ化して確認します。

    
    

実際の推移を確認すると、2020年から2021年にかけては世界的なコンテナ不足やコロナ禍による港湾混雑、「巣ごもり需要」を背景に北米向けの運賃が急騰しました。2022年の夏以降は下落基調に転じましたが、2024年にはいったん高水準に戻っています。これは、相互関税の発動を見越した駆け込み需要や、世界的な船舶不足・港湾混雑などによる供給逼迫、さらに前年までの輸送遅延や在庫不足を補う動きが重なったことが要因と考えられます。
今年に入ってからは再び下落傾向が続いています。ただし、昨年の運賃水準が高かっただけで、一昨年と比べればそこまで極端に下がっている印象は受けません。

7月以降の詳しいデータはまだ公表されていませんが、相互関税の本格的なスタートによって需要が一段と冷え込み、運賃がさらに下落するのかが注目されています。いずれにしても、アジア発北米向けの運賃は今後も注目していきたいと思います。

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