紛争地を向け地とした海外輸送について

日本から海外へ輸出する際、特に紛争地やその周辺地域に輸出したい場合は輸出規制等の注意が必要です。
例えば、2022年3月18日より、ロシアやベラルーシ等への輸出は承認制となっていますが、すべて不承認となるわけではなく承認される貨物もあります。
輸出したい貨物が承認されるかどうかは申請してみないとわかりませんが、あらかじめ経済産業省が発表している書面をみれば、輸出可能かどうかは判断することができます。

輸出承認の可能性がある貨物

経産省のHPによるとロシア等への輸出については「原則として、承認は行わない。但し、次のいずれかに該当する場合には、承認を行うことがある。」としており、以下の場合は輸出申請をすれば許可が得られる可能性があります。

(1)食品・医薬品

(2)人道支援の目的で輸出するもの

(3)サイバーセキュリティの確保に関するもの

(4)海洋の安全に関するもの

(5)消費者向けの通信機器(パーソナルコンピュータ、スマートフォン等(ベラルーシ又はロシアの政府機関又は国有企業向けを除く。))

(6)民間向けの通信インフラ(インターネットを含む。)に関するもの

(7)政府間で輸出するもの(宇宙協力等の非軍事分野における政府間協力等)

(8)最終需要者が法人の場合であって、当該法人の全ての株式を日本又は通達の別紙に掲げる国・地域の法人が出資した法人(合弁を含む。)向けの輸出。

※参照:ロシア等への輸出
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_export/17_russia/russia.html

不承認となる貨物

経産省のHPによると「輸出貿易管理令別表第2の3第三号に掲げる貨物(奢侈品)」は不承認にするとあり、具体的には以下が掲げられています。

・ 酒類
・ たばこ製品
・ 香水類、化粧品
・ 革製品
・ 毛皮
・ 衣類、履物(10万円超)
・ 帽子(10万円超)
・ 絨毯
・ 宝飾品
※少額(4万円以下)の物品は対象としない。
・紙幣・金貨・金の地金(注)
・ 陶磁製品
・ ガラス製品
・ ダイビング用機器
・ 乗用車(600万円超)、バイク(60万円超)
※ 原動機付きシャーシ、車体等を含む
・ ノートパソコン
・ 時計(貴金属を使用したもの)
・ グランドピアノ(20万円超)
・ 美術品、骨とう品

※参照:外国為替及び外国貿易法に基づく輸出貿易管理令等の改正について
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/04_seisai/downloadCrimea/20220329_shashihin.pdf


ちなみに奢侈品のリストにある「ノートパソコン」については承認可能性のある「消費者向けの通信機器」には含まれないのか等、貨物によっては判断できない場合もあります。その場合は経産省に問い合わせをした方がよいでしょう。

まとめ:輸送可能かは事前確認が大事!

以上のように紛争地やその近隣国への輸送については規制がある場合が多いですが、規制の中にも「例外」があり、輸送できる場合もあります。
紛争地だからとあきらめず、まずは輸送できるかどうかを確認することが大切です。