世界のコンテナ港上位10港平均値の推移(2008-2024)
年間コンテナ取扱量の上位10港について
世界の主要港の最新の年間コンテナ取扱量ランキングは、海運業界の調査会社であるアルファライナー(Alphaliner)のウェブサイトで公開されています。2024年のデータによれば、年間のコンテナ取扱量(TEU)で上位を占める港に大きな変動はないものの、トップ10の顔ぶれにはいくつか入れ替わりが見られます。1位は引き続き上海港、2位はシンガポール港で、不動の座を維持しています。一方で、2023年にはドバイのジュベル・アリ港がロッテルダム港に代わってトップ10入りし、さらに2024年には長年上位を保っていた香港港がランク外となり、マレーシアのポートクラン(Port Kelang)が新たに加わりました。
今回は、世界の主要コンテナ港の動向を把握するために、上位10港の年間コンテナ取扱量の平均値を各年ごとに算出し、グラフとして確認していきます。あわせて、近年大きく躍進したジュベル・アリ港(ドバイ)やポートクラン港(マレーシア)、一方で取扱量が伸び悩んでいるロッテルダム港(オランダ)や香港港についても、年別の取扱量推移を個別にグラフ化し、その動向を見ていきます。
上位10港のコンテナ取扱量の平均値の推移
以下は年間コンテナ取扱量の上位10港の平均値を年別のグラフにしたものです。
このグラフを見ると、主要港のコンテナ取扱量は、2009年にリーマンショックの影響で一時的に下落したものの、それ以外の年では概ね前年比で増加を続けており、2024年には平均で3,000万TEUを突破しています。
(2019年、2020年も増加しており、コロナ禍の影響はさほどなかったことが見て取れます。)
次に、近年ランキングに変動があったポートクラン港、香港港、ジュベル・アリ港、ロッテルダム港の、2008年から2024年までの年次コンテナ取扱量の推移は以下のとおりです。
グラフを見ると、顕著に低迷しているのが香港港です。2008年には2,400万TEU超を誇っていたものの、その後は一貫して取扱量が減少し、2024年には1,300万TEU台にまで落ち込みました。香港返還以降、物流機能が上海港など中国本土の港へシフトした影響と見られます。
一方、ポートクラン港は着実に取扱量を伸ばし、2024年にはついに香港を上回る水準に達しました。
また、ジュベル・アリ港は一時低迷していたものの近年は回復傾向にあり、2023年にはロッテルダムを抜いてトップ10入り。2024年も引き続き取扱量を伸ばしています。ただし、2025年はイスラエルとイランの紛争の影響も懸念され、今後の推移には不透明感も残ります。
このままの流れでいけば、2025年以降もしばらくは主要港の顔ぶれに大きな変化はないと見られますが、サプライチェーンの再編が進む中、インドの成長や日本の港の動向も気になるところです。
今後も、トップ10以外の港にも目を向けながら、世界のコンテナ港の変化を継続的に追いかけていきます。
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