いよいよ躍進の時か、インドの物流について

米国の相互関税の影響で中国→インドへサプライチェーンの移行が加速中!?

2025年4月にトランプ大統領が発表した相互関税により、中国で製品を生産し、米国に輸出していた企業は、サプライチェーンをインドやその周辺国に移行せざるを得ない状況になりつつあります。

アップルは、まず米国向けのiPhoneについてインドで生産を行うと発表しており、移行がスムーズに進めば、将来的には他国向けのiPhoneもインド生産に切り替える可能性があるという見方もあります。
交渉の結果、中国に対する相互関税の税率次第では、「脱中国」の動きがさらに加速する可能性もあります。

そうなると、いよいよインドの物流量が急激に膨れ上がる可能性も出てきます。

国連人口基金(UNFPA)の発表によると、2024年のインドの人口は14億4,170万人となり、中国を抜いて世界一となりました。
もちろん、現時点では物流において依然として中国が世界をリードしていますが、今回の相互関税の影響により、物流の勢力図にも大きな変化が生じるかもしれません。

そこで今回は、インドの主要港におけるコンテナ取扱量について調べてみました。

近年、躍進を続けるムンドラ港とナバシェバ港(ジャワハルラール・ネルー港)

日本湾岸協会が発表している「世界のコンテナ取扱量上位100港」のデータを見ると、インドにおける近年の主要コンテナ港は、ムンドラ港、ナバシェバ港(ジャワハルラール・ネルー港)、チェンナイ港の3港であることがわかります。

この3港について、2009年から2023年までのコンテナ取扱量データをグラフ化したものが以下となります。
比較参考用として、同期間の東京港のデータもあわせて掲載しています。

※なお、チェンナイ港は2018年以降、上位100位から外れているため、データを確認できていませんが、コンテナ取扱量が0になっているわけではありません。

※東京港とチェンナイ港のグラフは初期表示では非表示となっています。グラフ上の港名をタップすると表示されます。

  
  

※その年のコンテナ取扱量が100位以下の場合は取扱量が0としています。(実際にコンテナ取扱量がゼロというわけではありません)

インド主要港の年間コンテナ取扱個数の推移を見ると、ムンドラ港が徐々に躍進し、2019年にはナバシェバ港を抜いて、現在ではインド国内最大のコンテナ港となっています。

ちなみにムンドラ港の年間コンテナ取扱量は、初めて100位以内に入った2010年には89位でしたが、2023年には24位となっており、その躍進ぶりが数字にもはっきりと表れています。

現在はムンドラ港に抜かれたナバシェバ港ですが、JICAの報道によれば、近年ジャワハルラール・ネルー港の改修を進めているとのことで、2021年以降はコンテナ取扱量が増加していることもデータからも確認できます。
(特に東京港と比較すると、その差がより顕著に見て取れます)

南アジアに位置するインドは、アジアと中東・アフリカ・欧州を結ぶ航路の要所であり、サプライチェーンの観点からも、中東・欧州向け製品であれば中国よりもインドで生産する方が利便性が高いといえます。
そのため、米国による相互関税の交渉次第では、一気にインドへのシフトが進む可能性も考えられます。

インド主要港のコンテナ取扱量については、今後も定期的にレポートしていく予定です。
※大谷シッピングでは、インド、中東、アフリカや欧州への海上輸送も積極的に取り扱っています。多数の実績がありますので、ご入用の際はぜひお問い合わせください。